Nature ハイライト

化学:結合形成をフェムト秒分解能で可視化する

Nature 518, 7539

原子結合の形成と切断は、化学反応に不可欠な過程である。結合切断の超高速ダイナミクスは、時間分解法を用いて盛んに研究されてきた。しかし、結合形成の構造ダイナミクスの研究は、2分子が関与するというのが主な理由で、非常に難しい。今回、フェムト秒(fs)時間分解X線溶液散乱法を用いて、三量体金錯体[Au(CN)2]3の形成が可視化された。この実験では、共有結合形成、屈曲型から直線型への遷移、結合の収縮、四量体形成といった個々の反応段階のダイナミクスが、約500 fsの時間分解能で調べられている。著者たちは、サブオングストロームの空間分解能で反応中間体の三次元構造も決定した。結合形成の全過程がフェムト秒の時間分解能で視覚的かつ定量的に追跡されたのは、今回が初めてである。

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