Nature ハイライト

分子生物学:DNA修復におけるMRX複合体の活性

Nature 514, 7520

DNA二本鎖切断部での相同組換えには、3′末端に一本鎖尾部のある分子が使われるが、それには5′末端を持つ側のDNA鎖の切除が必要である。これまでの遺伝学的解析によって、このDNA鎖切除には、修復タンパク質Mre11、Rad50、Xrs2からなるMRX複合体が必要なことが示されている。しかし、この複合体のin vitroでの活性については、3′ → 5′方向の切除しか起こらないという、不可解な結果が得られていた。今回、この謎が、E CannavoとP Cejkaの酵母を使った実験によって解決された。酵母ではSae2ヌクレアーゼがMRXを活性化し、まず5′末端側のDNA鎖にエンドヌクレアーゼ活性によって切れ目を入れることが分かった。これによって、MRXは、ここから3′ → 5′方向へと戻りながら、5′末端側DNA鎖を端まで分解できるようになる。この活性はDNA末端がふさがれると誘導され、これは減数分裂などのin vivoでの状況と一致している。減数分裂では、二本鎖切断が生じた後に、Spo11複合体が結合したままになるのである。

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