Nature ハイライト

有機化学:ベンゼンのC–C結合切断を容易に

Nature 512, 7515

遷移金属による炭素–炭素結合の切断は、化学合成、石油化学や生物系における主要な反応である。合成化学の分野では、遷移金属を使ったベンゼンの切断はこれまでできなかったが、今回Z Houたちが、三核チタンポリヒドリド錯体という性質がよく分かっている分子系による、ベンゼンの炭素–炭素結合の切断と骨格変換の初めての実例を報告している。この反応では、ベンゼン環は、複数のチタン活性部位での芳香族炭素骨格の切断を経て、メチルシクロペンテニル種、2-メチルペンテニル種に順次変換される。今回の結果は、多核チタンヒドリドが芳香族分子を活性化させるプラットフォームとして使用でき、これによって不活性芳香族化合物を変換する新しい触媒の設計が容易になる可能性を示唆している。

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