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疫学:ウシ結核は牛の移動によって広がる

Nature 435, 7041

英国ではウシ結核の大流行が続いている。英国政府の家畜記録を解析したところ、この大流行の原因となっているのは畜牛の国内地域間の移動だという結果が出た。ウシ結核はこの20年の間、増大傾向にあるが、その分布を予測するには、疾患を媒介する野生種の存在などの要因よりも、畜牛の移動の方が予測因子としての精度は高いことがわかった。  今回の研究では、畜牛の動向をすべて記録した英国牛追跡システムのデータを使っている。新たな地域に疾患が定着するには、こうした畜牛移動がきわめて重要な変数となるが、現在疾病の拠点となっているイングランド南西部以外の地域でウシ結核の大流行が起こるには、おそらく他の要因も必要となるだろうとW Wintたちは報告している。  「彼らは複雑なデータベースを統合し、見事な統計解析を行った」とM WoolhouseはNews and Viewsで評している。ただし、疾患の広がりにアナグマ(英国で論議を呼んでいる害獣駆除調査の対象動物)がどのような役割を果たしているかはまだよく解明されていない。つまり、このような疾患の大流行には複雑な要因がからんでおり、予防策の効果があらわれるまでには時間がかかるということだと、彼は述べている。

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