Nature ハイライト

宇宙:惑星の玉突き

Nature 435, 7041

今週号に掲載された同じ研究チームからの3編の論文によると、太陽系の持つ3つの特異な性質がただ1つの基本的な理論で説明できるという。  太陽系の巨大惑星が傾斜した離心軌道をとっている理由、木星がトロヤ群小惑星を捕獲し、これらの小惑星が木星に引きずられるようにその軌道上を運動するようになった仕組み、さらには、惑星形成後に残ったかけらが、形成の7億年後になって月に降り注いだという「後期重爆撃」に関しては、これまでさまざまな説が提案されてきた。  しかしA Morbidelliたちは、これらすべての現象が、太陽系の歴史の初期に土星と木星の軌道が移動したことの直接的な結果であると説明している。もし、太陽を回る軌道を木星が2周するごとに土星が正確に1周していた時期があったなら、これらの惑星の重力相互作用は、この「共鳴」によって強められただろう。この効果によって、軌道が引き伸ばされて傾斜し、天王星や海王星が外側にはじき出された可能性がある。  土星と木星は、惑星形成後に取り残された多くの微惑星のそばを通過する際に重力によって何度も揺さぶられ、この共鳴位置に移動したのかもしれない。トロヤ群小惑星は、こうした微惑星の残りである。そして海王星が再配置によって外側に放り出されたとき、もっと多数の微惑星が太陽の方向にはじきとばされ、それらの一部が月に衝突した。  「しかし注意が必要だ。惑星形成シミュレーションで、観測されている太陽系とよく一致する最終状態が再現されたからといって、そのシミュレーション結果が実際にも起きたということにはならない」と、J HahnがNews and Viewsで指摘している。

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