Nature ハイライト

原子物理学:ディラック作用がなかなか見つからなかった単極子を生成する

Nature 505, 7485

合成磁場中に生成した磁気単極子(想像図)。
合成磁場中に生成した磁気単極子(想像図)。 | 拡大する

Credit: Heikka Valja

1931年にディラックが磁気単極子に関する包括的な理論を構築して以来、物理学者はN極かS極のみの特徴を持つこうした仮想粒子の単離を熱心に試みてきた。磁気単極子に似たものはスピンアイスなどのエキゾチック系で見いだされているが、量子場によって記述される媒質中にディラック単極子が直接観測されたことはない。しかし、今回D Hallたちは、スピノル・ボース・アインシュタイン凝縮体によって生成される合成磁場中に、ディラック単極子を実験的に観測した結果を報告している。この凝縮体中の渦線の終端部に存在する単極子の実空間画像が撮影され、ディラック単極子が存在することを示す証拠が得られた。制御された環境中にディラック単極子を生成し、操作すれば、広範囲の実験研究と理論研究の可能性が開かれる。

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