Nature ハイライト

Cover Story:海の変容:ハワイの黄金サンゴは小氷期以降の北太平洋での窒素急増を記録している

Nature 505, 7481

表紙は、ハワイ深海で育つ黄金サンゴのKulamanamana haumeaae。生息地での様子は、NOAA(米国海洋大気庁)/HURL(ハワイ海底研究所)の深海探査艇パイシーズVの潜航の際に撮影された。K. haumeaaeは極めて長命の種で、寿命が数千年に及ぶ場合もある。このサンゴは沈降してくる植物プランクトンなどの微小な粒子をタンパク質からなるサンゴ骨格に変換するため、その骨格は数千年を越える独自の地球化学的時系列を与えてくれる。北太平洋亜熱帯循環では、最近の数十年間で栄養素の供給量が減少しているにもかかわらず、一次生産力は上昇している。考えられる説明として、生態系の窒素固定性プランクトン群集への移行という説が出されているが、このような移行の原因はまだ明らかになっていない。O Sherwoodたちは、K. haumeaaeサンゴの窒素同位体(δ15N)記録を用いて、窒素固定量の増加が既に約150年前に始まっていたことを確証し、それが小氷期末以降の北半球の気候変化と関係している可能性を明らかにしている。

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