Nature ハイライト

医学:アルテミシニン耐性マラリアのマーカー

Nature 505, 7481

東南アジアでは、マラリアの病原体である熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の分離株にアルテミシニン耐性が広がっており、この問題はマラリア根絶への世界的な取り組みを脅かすものとなっている。耐性の監視という重要な作業は、分子マーカーがないことが妨げとなってきた。F Arieyたちは今回、熱帯熱マラリア原虫のアルテミシニン耐性を決定する重要な因子を突き止めた。これは、耐性のマーカーとなる可能性がある。著者たちは、マラリア原虫のPF3D7_1343700 kelch propeller domain(K13-propeller)に生じた変異が、耐性の最近の拡大に結びつくことを明らかにしている。2001~2012年に集められた試料の比較から、このマーカーの出現頻度の上昇が耐性の拡大と一致していることが示された。これらの知見は、有用なマーカーを明らかにしただけでなく、耐性が出現する仕組みの解明を促すと思われ、また、新規抗マラリア薬の探索で耐性を回避する方法も示唆している。

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