Nature ハイライト

がん:オートファジーの役割はp53に依存する

Nature 504, 7479

オートファジーは、細胞内の壊れたり不要になったりした成分を分解する機構だが、これが腫瘍形成を促進するのか、それとも抑制するのかは長らく議論の的となっている。最近の証拠からは、状況次第でどちらも正しい可能性が示唆されている。今回K Ryanたちは、Kras変異誘発性の膵臓がんのマウスモデルでオートファジーを抑制した場合の転帰が、p53の状態に依存することを示した。p53が無傷状態であれば、主要なオートファジー遺伝子群が欠失しても、低悪性度の腫瘍から高悪性度のがんへのプログレッションは阻止される。しかし、p53が存在しない状態でオートファジーが起こらないと、腫瘍形成が加速し、それに伴ってがん細胞の代謝は脱調節状態になる。この研究は、がんの治療でオートファジーを標的にするという考え方に対して重要な意味を持つ。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度