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がん:p53の状態が膵臓がん形成におけるオートファジーの役割を決める

Nature 504, 7479 doi: 10.1038/nature12865

マクロオートファジー(以後、オートファジー)は、オートファゴソームと呼ばれる細胞小器官が、細胞質成分を分解のためにリソソームへと配送する過程である。オートファジーは細胞の恒常性において主要な役割を担っており、さまざまなヒト疾患に関与している。がんにおけるオートファジーの役割については、腫瘍形成促進に関わるとする報告と、腫瘍抑制に関わるとする報告の両方があり、単純ではないように思われる。本研究では、膵管腺がん(PDAC)の遺伝子改変ヒト化マウスモデルで、腫瘍形成におけるオートファジーの役割は、腫瘍抑制因子p53の状態と本質的につながっていることを示す。Kras(別名Ki-Ras)の活性型発がん性対立遺伝子は、PDACで最もよく見られる変異であり、この変異が生じた膵臓を持つマウスは、少数の前がん病変を形成し、これらは時間経過とともに確率論的にPDACへと進行する。しかし、必須のオートファジー遺伝子Atg5またはAtg7を欠失したマウスも、悪性度の低い前がん性の膵臓上皮内新生病変を蓄積するが、高悪性度の膵臓上皮内新生物やPDACへのプログレッションは抑制される。それらとは明らかに対照的に、発がん性Krasおよびp53が欠失しているマウスでは、オートファジーが起こらないと腫瘍のプログレッションは阻止されず、予想に反して腫瘍の発症が促進され、グルコースの取り込み亢進や同化経路の上昇が示され、それによって腫瘍増殖は促される可能性があることが代謝解析で分かった。以上の結果は、がんにおけるオートファジーの役割に関する重要なヒントをもたらし、がん治療でオートファジー抑制が重要な意味を持つことを示唆している。これと関連して我々は、現在複数の治験で使われているオートファジー阻害剤ヒドロキシクロロキンをマウスに投与すると、発がん性Krasを持つがp53が欠損しているマウスで腫瘍形成が有意に促進されることも示す。

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