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惑星科学:ベスタの意外な場所で発見されたカンラン石

Nature 504, 7478

小惑星ベスタの北半球にあるBelliciaクレーターの赤外ハイパースペクトル画像。緑色で表された部分がカンラン石。
小惑星ベスタの北半球にあるBelliciaクレーターの赤外ハイパースペクトル画像。緑色で表された部分がカンラン石。 | 拡大する

Credit: Image generated by Alessandro Frigeri and Eleonora Ammannito using VIR data and Framing Camera images.

NASAのドーン探査機は、2011年7月から2012年9月にかけて小惑星ベスタを周回した。今回、ドーン探査機搭載の可視赤外(VIR)マッピングスペクトロメーターの担当チームによって意外な発見が報告されている。小惑星表面にカンラン石の痕跡が見つかったのだ。カンラン石は、地球など分化した天体のマントルの主成分である。ベスタは大型の小惑星であり、分化して地球のような層構造を形成するのに十分な大きさである。そしてカンラン石は、ベスタの南極にある深い盆地内で見つかるのではないかと予想されていた。ここは、マントル岩石がむき出しになっていると考えられているからである。しかし、分光分析データからは、カンラン石に富んだ物質が北半球の表面近傍にあることが明らかになった。ベスタで起こった分化過程の理解は、原始太陽系を知る機会を与えてくれる非常に貴重なものであるが、これらの最新の結果は、ベスタの進化史が思っていた以上に複雑であることを示している。

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