Nature ハイライト

微生物学:炭素循環と窒素循環の嫌気的結びつき

Nature 500, 7464

嫌気的メタン酸化(AOM)能を持つ微生物群は、無酸素環境である海洋堆積物からのメタン流出の制御に重要な役割を果たしている。最近の研究により、ANME(嫌気的メタン酸化古細菌)と硫酸還元細菌からなる微生物群集の中でAOMが硫酸還元と共役していること、また細菌Candidatus ‘Methylomirabilis oxyfera’と新規のANME-2d系統が優占する微生物群集では、AOMが亜硝酸還元と共役していることが分かっている。今回G Tysonたちは、Candidatus ‘Methanoperedens nitroreducens’と命名したANME-2dの新規古細菌種が、共役微生物なしにメタン生成の逆反応で硝酸依存性のAOMを行えることを示した。このAOM過程では硝酸が最終電子受容体として用いられ、また、細菌から水平伝播した硝酸還元遺伝子が使われている。著者たちは、ANME-2d、すなわち今回暫定的に‘Methanoperedenaceae’と名付けられた科に属する古細菌が、無酸素環境で全球的な炭素循環と窒素循環を結びつける重要な役割を果たしているのではないかと推測している。

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