Nature ハイライト

材料科学:人工スピンアイスを熱化する

Nature 500, 7464

人工カゴメスピンアイスのトポグラフィー(イメージ画像)。
人工カゴメスピンアイスのトポグラフィー(イメージ画像)。 | 拡大する

Credit: Alex David Jerez Roman, Ian Gilbert, and Sheng Zhang

2006年に初めて報告された人工スピンアイス系は、相互作用する強磁性ナノアイランドのアレイであり、リソグラフィー法で作製された。アイランドの磁気モーメント、すなわち「スピン」は、互いに整列しようとするが全てがうまくいくわけではなく、「フラストレート」した系が生じる。フラストレーションは、完全な秩序を妨げ、興味深い動力学的特性や磁気的特性をもたらす。人工スピンアイス系の欠点は、通常「非熱的」な凍結状態で観測されるため、フラストレートした構造の熱ゆらぎによって生じ得る新しい相を実験的に調べられないことであった。S Zhangたちは今回、異なる幾何形状を持つ2種類の人工スピンアイスを熱化する手法を開発した。その結果、正方格子におけるこれまでになく大きな基底状態ドメインの形成と、カゴメスピンアイスにおける(モノポールのような)磁荷の結晶化が観測された。今回の成果は、磁気相や磁気的挙動の新しい領域を調べる可能性を開くものである。

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