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進化:動物でも種間交雑で新種が生まれる

Nature 436, 7050

2種の動物が交雑してできた雑種が新しい生息環境への乗り換えによって別個の新種へ進化できることを示す初めての証拠が見つかった。動物で新しい種が生まれる(種分化という)場合、1つの種が2つの種に分かれる仕組みのほうが一般的だが、今回の発見で、2つの動物種から1つの動物種が生じるような進化が起こりうることが実証された。  植物では種間交雑によって新種が生まれることがわかっているが、同じことが動物でも起こりうるかどうかについては専門家の間でも疑問視されていた。たいていの場合、雑種の子孫は親である2つの種それぞれの純粋種系統に比べて生存能力や繁殖能力がずっと劣るからである。したがって雑種形成による種分化が起こるには、生じた雑種集団が親集団から生殖的に隔離される必要がある。  この雑種形成による種分化がミバエ科の仲間で起こったことを、D Schwarzたちが報告している。米国北東部では、寄生する相手を最近になって外来のスイカズラ属植物に乗り換えたミバエがいた。北米にスイカズラ属(Lonicera)植物が侵入したのは、わずか過去250年の間のことだとみられている。これらの侵入植物は、Rhagoletis pomonellaと呼ばれるミバエ種群の中のある一群に寄生されるようになった。この一群は雑種からなり、最初の創始者集団となって遺伝的に別個の種になる道を独力で歩んだのである。Schwarzたちは、このミバエ集団を寄生する植物にちなんで「スイカズラミバエ」(Lonicera fly)と名づけた。

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