Nature ハイライト

視覚:ハル・ベリーは選択的な応答を引き起こす

Nature 435, 7045

我々の脳は目で見たものをどのように処理するのだろう。そして、視覚画像を解読する際に脳のさまざまな領域や細胞は、どのような役割を担うのだろう。以前に「おばあちゃん細胞」という言葉がつくられたことがある。脳には世界中の物体それぞれに対し、それを認識する個別のニューロン(たとえば、自分の祖母を認識するニューロンなど)があるという説をやや茶化して言ったものだが、この説はかつて思われたほど真実とかけ離れたものではないかもしれない。R Q Quirogaたちからの報告によれば、内側側頭葉にある一群のニューロンは、特定の人物や場所や物体のイメージによって選択的に活性化され、しかもそのイメージの詳細には影響されないという。  8人の患者を対象に、てんかんの臨床的処置の状況においてニューロンの発火応答を記録した。この患者たちに、ブラッド・ピットやジェニファー・アニストン、ハル・ベリーといった有名人の顔などの像を連続的にスクリーン上で見せたところ、特定のニューロンが特定の人物の顔写真に(ときには、その名前にも)強く応答した。一例を挙げると、ある患者では、ビル・クリントン前米大統領の全く異なる3種類の写真に1個のニューロンが選択的に応答したという。「おばあさん細胞は、ある物体の表現が1個のニューロンに集約されるという、散在性の理論的極限である。Quirogaたちは、この極限にこれまでで最も近づいたようだ」と、C ConnorがNews and Viewsで述べている。

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