Nature ハイライト

進化:毒牙をもった絶滅哺乳類

Nature 435, 7045

大昔には、ヘビのように獲物に咬みつき毒液を注入した哺乳類がいたらしい。カナダで発掘調査している古生物学者たちが、毒液を注入できる形の犬歯をもった小型の肉食哺乳類がいたことを示す証拠を手に入れたのだ。この動物はおよそ6000万年前に生息していたもので、この種の戦略を使ったと思われる絶滅哺乳類として最初の例になる。  アルバータ州中部の2か所で見つかった歯の化石から、Bisonalveus browniという哺乳類の犬歯には溝がついていて、この溝を通じて特殊化した腺から毒液を不運な獲物に注入した可能性が高いことがわかった。絶滅哺乳類でこの種の適応が見つかったのは今回が初めてだと、報告したR FoxとC Scottは述べている。  毒液を使う現生哺乳類は、カリブ地方に生息するソレノドン類など一握りしかいない。そのため、ヘビなどの動物に比べて、なぜこの戦略を採用する哺乳類がほとんどいないのかは謎であった。ヘビは進化史の中で、捕食や防御に毒液利用を何度も進化させてきた。今回の発見は、絶滅した哺乳類が我々の想像をはるかに超えて、毒液の持つ力を活用していた可能性を示すものだ。

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