Nature ハイライト

微生物学:住血吸虫のしぶとさの鍵は幹細胞にある

Nature 494, 7438

雌雄抱合したマンソン住血吸虫の走査型電子顕微鏡写真。
雌雄抱合したマンソン住血吸虫の走査型電子顕微鏡写真。 | 拡大する

Credit: Jim Collins, Ana Vieira and Phillip Newmark

自由生活性プラナリアや寄生性条虫では成体幹細胞(新成細胞と呼ばれる)が見つかっており、高い組織再生能はこれらの細胞によって支えられている。今回P Newmarkたちは、ヒトに寄生するマンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)で成体幹細胞が見つかったことを報告している。この扁形動物門に属する吸虫には、世界中で数億人が感染している。住血吸虫の幹細胞は増殖して、複数の胚葉に由来する細胞へと分化し、また、繊維芽細胞増殖因子受容体のオルソログを発現している。著者たちはRNA干渉を用いて、この遺伝子が新成細胞様の細胞の維持に必要であることを示した。これらの知見は、マンソン住血吸虫の長命を促進する機構の解明に役立つ可能性があるため、医療にも関係してくるかもしれない。

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