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遺伝:ヒアリでは社会性染色体が女王の数を支配する

Nature 493, 7434

多女王制ヒアリの女王を襲う単女王制ヒアリのワーカー。画像下は、染色体逆位(蛍光着色された部分)を持つ、ヒアリの2種類の社会性染色体。
多女王制ヒアリの女王を襲う単女王制ヒアリのワーカー。画像下は、染色体逆位(蛍光着色された部分)を持つ、ヒアリの2種類の社会性染色体。 | 拡大する

Credit: Chih-Chi Volans Lee, Yu-Ching Huang and John Wang

ヒアリ(Solenopsis invicta)の生活するコロニーには、大きく異なる2つの型が見られる。ワーカー(働きアリ)の上に複数の女王アリが君臨するコロニーと、女王アリが1匹だけのコロニーである。この社会構成の違いは、1個のメンデル型遺伝因子の制御下にある遺伝子群によっている。今回、この違いにかかわるゲノム領域の大規模解析が行われ、意外にも、この社会構成の多型のさまざまな側面を支配しているのは、1本の染色体の半分を占める、組換えの起こらない「超遺伝子」であることがわかった。この領域の働きは性染色体に非常によく似ている。これらの知見から、遺伝的再編成を局所的に制限することによって、多くの遺伝子が一緒にかかわって起こる社会的行動の差異が維持される仕組みが明らかになった。

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