Nature ハイライト

Cover Story:小さな始まり:伴星の消滅は、超新星SN 1006の前駆天体が一対の白色矮星であったことを示している

Nature 489, 7417

SN 1006超新星残骸(合成画像)。
SN 1006超新星残骸(合成画像)。 | 拡大する

Credit: X-ray: NASA/CXC/Rutgers/G.Cassam-Chenaï, J.Hughes et al.; Radio: NRAO/AUI/NSF/GBT/VLA/Dyer, Maddalena & Cornwell; Optical: Middlebury College/F.Winkler, NOAO/AURA/NSF/CTIO Schmidt & DSS

Ia型超新星は、白色矮星の主星と、赤色巨星、準巨星、主系列星、もう1つの白色矮星のいずれかの伴星からなる連星系で発生すると考えられている。こうした選択肢の最後にある2つの白色矮星からなる「二重縮退」系では、2つの星が爆発の前に合体し、伴星が残らないことがある。単一縮退系では、赤色巨星、準巨星、主系列星のいずれかである伴星が残存する可能性が高い。伴星の残骸を探索したこれまでの結果では、チコ・ブラーエ超新星SN 1572について、論争を生じた結果が1つ見つかっている。さらに最近では、残存する伴星は小型の主系列星に限られることを示す観測結果から、巨星である伴星が残る可能性は除外されている。J González Hernándezたちは、SN 1006の前駆天体の生き残っている伴星を探索し、伴星が赤色巨星や準巨星、主系列星であることを示す結果が得られなかったと報告している。従来の結果と合わせて考えると、この結果は、単一縮退チャネル、つまり主系列星、準巨星、巨星からのゆっくりとした質量蓄積を経て生じるIa型超新星は20%未満であることを示唆している。超新星爆発のもっと一般的な引き金になると思われるのは、軌道運動する小さいほうの白色矮星の急速な分裂である。表紙は、SN 1006超新星残骸の合成画像で、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたねじれた光のリボンが、膨張する爆風が周囲の希薄なガスに入っていく場所を示している。

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