Nature ハイライト

Cover Story:空腹痛:栄養不良が腸疾患につながる仕組み

Nature 487, 7408

発展途上国では数百万人が栄養不良状態にあり、富裕国においても、特に貧困層の栄養不良は依然として難問であり続けている。多くの場合、栄養不良は下痢や腸炎を伴っていて、それが病気や死亡の原因となる。今回、栄養不良状態で腸炎が発症しやすくなる理由が分子レベルで説明された。アンギオテンシン変換酵素2は血圧調節に重要な役割を担い、糖尿病や心不全、ウイルス感染にもかかわっているが、これが食物由来のアミノ酸の恒常性、自然免疫、腸内細菌叢の状態や腸炎へのかかりやすさに影響を与えることがわかった。この酵素を欠失するマウスはトリプトファン代謝が損なわれ、腸炎を発症するが、これは食餌中のトリプトファンとその代謝産物であるニコチンアミドによって軽減する。この意外な結果によって、ずっと以前から知られていた栄養素の影響が説明され、栄養不良と腸内細菌叢との結びつきが分子レベルで明らかになった。表紙は、1993年3月22日に南スーダンのアヨド村で撮影された、飢餓の犠牲者である。(Letter p.477; N&V p.437)

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