Nature ハイライト

物理:二重魔法核を持つスズのベータ崩壊

Nature 486, 7403

ガモフ・テラー(GT)遷移は、放射性ベータ崩壊の重要な特徴の1つで、このような崩壊は多くの天体物理学的過程に関係している。だがGT遷移の強度を実験により決定するのは難しい。それは、ベータ崩壊の研究では一般に全GT強度のごく一部しか観測できないためである。理論からは、短寿命の「二重魔法」スズ同位体100SnのGT遷移は、非常に容易に研究できる可能性が示唆されている。二重魔法核では陽子殻と中性子殻の両方がいっぱいになっており、そのため比較的安定である。今回C Hinkeたちは、259個の100Sn核を生成した画期的な実験で、このエキゾチック原子核を測定した結果を報告している。この数は、これまでの実験で観測された数の10倍を超えている。半減期は1.16±0.20秒であり、GT強度は核ベータ崩壊でこれまで測定された中で最大で、これが「超許容」遷移であることが確かめられた。この研究により、100Snは原子核の殻構造計算のモデルとなることが立証された。またこの結果は、恒星爆発の際の原子核過程の解明や、ニュートリノの性質の研究にもかかわってくる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度