Nature ハイライト

医学:アンチ標的は見逃すように調整された抗がん剤

Nature 486, 7401

分子標的抗がん剤は、キナーゼ阻害剤であることが多く、このような薬剤は多様なキナーゼを阻害することがしばしばである。K Shokatたちのグループは、キナーゼのRetを使って作製した多発性内分泌腺腫2型(MEN2)のショウジョウバエモデルを用いて、RetなどのMEN2腫瘍の増殖に関与する複数のキナーゼを標的とするマルチキナーゼ阻害剤のスクリーニングを行い、「アンチ標的(anti-target)」という考え方について調べた。マルチキナーゼ阻害剤のアンチ標的との相互作用は、望ましくない毒性につながったり、あるいは薬剤の有益な効果に拮抗するフィードバック機構を引き起こしたりすることがある。最適化された薬剤とは、アンチ標的は回避しながら、腫瘍に関連するキナーゼの理想的な組み合わせを標的とするものだろう。このような化合物は、ショウジョウバエMEN2モデルの生存性を向上させただけでなく、ヒトのMEN2細胞の異種移植片増殖でも効果が見られた。

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