Nature ハイライト

脳:神経プロテーゼ操作に使える神経系技能学習機構

Nature 483, 7389

皮質線条体回路は、身体的な技能の学習に関与することが知られているが、抽象的な技能の学習にもこれが重要かどうかはわかっていない。今回、J Carmenaたちは、一次運動野にあるが明らかな身体運動は起こさない部位の神経活動によって聴覚手がかりを操作し、目標に合わせるようにマウスを訓練した。訓練の間に、線条体ニューロンの活動が変化し、目標に達したかどうかによって出力を調整するニューロンの数が段々に増えていった。NMDA受容体の働きを妨害すると、マウスが技能を学習する能力が失われたことから、この調節と学習が通常の可塑性機構に基づいていることが実証された。これらの知見は、皮質線条体の可塑性が抽象的技能の学習でも重要であることを示しており、熟練した技能行動のために発達した神経系の情報保持・再生機構は、神経プロテーゼ(人工装具)の動きの調節に転用できる可能性がある。

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