Nature ハイライト

生物工学:細菌集団からなる検出用「バイオピクセル」

Nature 481, 7379

単一の機能を遂行するように設計された転写調節因子ネットワークが、合成生物学による最初の振動子として開発されたのは、ほんの10年ばかり前のことである。最近では、そうした振動子のコロニーを細菌のクオラムセンシングで連動させ、同期させることも可能になっているが、これは狭い範囲の同期に限定されていた。今回J Hastyたちは、過酸化水素蒸気と酸化還元シグナル伝達という2つの相乗的に働くコミュニケーション様式を組み合わせることにより、数センチメートルの広がりの中にクオラムセンシング集団である「バイオピクセル」の形で分散させた大腸菌の巨大個体群(約5,000万細胞)を同期させた。このアレイを用い、振動周期の調節によってヒ素の存在を感知することができる液晶ディスプレー様の巨視的な時計が作製された。さらに開発が進めば、この種のバイオピクセル型細胞集団から、重金属や病原体を検出する能力を持つ低コストの遺伝学的バイオセンサーの基盤が作り出せるかもしれない。

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