Nature ハイライト

細胞:DNAリガーゼIIIのミトコンドリアでの役割

Nature 471, 7337

哺乳類細胞には3種類のDNAリガーゼが含まれていて、それぞれ性質が異なるが、どれもDNA複製と修復にかかわっている。リガーゼIII(Lig3)は核DNAの修復にかかわるタンパク質Xrcc1と複合体を形成することが知られているが、Lig3を持たない動物は発生初期に死んでしまうため、作製することができない。そのため、核内で塩基除去修復(BER)に果たすこの役割が、Lig3の持つ生存維持に不可欠な機能なのかどうかという疑問が生じていた。今回2つのグループがLig3機能の別々の特徴についてin vivoで調べ、両方のグループが共に、Lig3の触媒作用はミトコンドリアDNAの維持に不可欠であるが、意外なことにXrcc1を介した核でのBERには不可欠ではないと結論している。これらの知見は、ミトコンドリアDNAの複製や修復の異常がかかわるヒトの病気の一部は、Lig3の変異が原因となっている可能性を示唆している。

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