Nature ハイライト

医学:不整脈の新規モデル

Nature 471, 7337

ヒト心臓の不整脈の疾患モデルとして遺伝子操作が容易なマウスなどの動物を用いることは、心筋細胞収縮の機構がマウスとヒトで異なるために難しい。ティモシー症候群は自閉症、免疫不全および心臓の不整脈を特徴とする疾患だが、この疾患の患者2人から得た繊維芽細胞を再プログラム化して樹立した誘導多能性幹(iPS)細胞の分化により作出した心筋細胞が、不整脈研究のための新規モデルとなることが今回報告された。ティモシー症候群患者に由来する細胞で見られる電気的特性およびカルシウムシグナル伝達特性の異常は、薬剤ロスコビチンによって正常化した。この薬剤は、カルシウムチャネルの一種でティモシー症候群の患者で障害されているCaV1.2の電位依存性不活性化を促進することが知られている。

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