Nature ハイライト

地球:観測された背弧拡大中心

Nature 469, 7329

フィジーとトンガの間のラウ背弧海盆熱水噴出系に位置する東ラウ拡大中心は、米国立科学財団(NSF)によるRIDGE2000研究プログラムで重点的に研究が行われた場所である。今回、この地域で行われた最初の大規模地震学的研究によって、地殻の性質が拡大軸の走向に直交の方向と平行の方向で大きく急激に変化することが明らかになり、これに対応して海嶺軸にメルトを供給するマントルの性質に大きな不連続があることが示唆された。したがって、大洋中央海嶺で推定されているような安定した広い三角形の上昇流領域は、マントルウェッジの角近傍では形成され得ないと考えられる。そして観測結果からは、海嶺の上昇流帯では、島弧に近づくにつれて水分を多く含む粘性の低いマントルが選択的に捕獲される動的過程があることが示唆されている。海嶺が島弧から遠ざかるにつれて、物質が迅速に放出される臨界点に達し、その結果、海嶺で形成される地殻の特性に急激な変化がもたらされる。

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