Nature ハイライト

細胞:BETブロモドメインを標的とするヒストン模倣阻害物質

Nature 468, 7327

クロマチンタンパク質を変化させる低分子の発見は、現在の生物医学研究の新たな関心の的になりつつある。今回、2つのグループが遺伝子活性化の際にアセチル化リジンに結合するブロモドメインを含むBETタンパク質に注目し、トリアゾール環とジアゼピン環が融合した構造を基盤とする、類似した細胞膜透過性低分子化合物という結果を得た。J Bradnerたちは、JQ1と名付けた化合物の開発について報告している。BETタンパク質であるBRD4は2個のブロモドメインをもち、ヒト扁平上皮がんにかかわっているが、JQ1はマウスモデルでBRD4依存性腫瘍の増殖を阻害する。一方、A Tarakhovskyたちは、阻害物質I-BETが複数のBETファミリータンパク質のアセチル化リジンへの結合を阻害することを明らかにしている。I-BETは、マクロファージで炎症誘発性遺伝子の活性化を阻害し、炎症性疾患のマウスモデルでは免疫調節作用が認められた。

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