Nature ハイライト

微生物学:細菌のじゃんけんゲーム

Nature 428, 6981

グーチョキパーの「じゃんけん」をするのは人間だけではない。細菌だって、このおなじみのゲームに精通しているらしい。大腸菌の3種類の菌株が3通りの勝敗パターンでお互いに勝ったり負けたりする様子が明らかになった。 大腸菌の株の中には、自分に近縁な他の菌株を殺すコリシンという毒素をつくり出せるものがある。B C KirkupとM A Rileyはマウスに、コリシン産生(C)株、コリシンに殺傷される感受性(S)株、毒素に平気な耐性(R)株のいずれかを摂取させた。次にマウスを、菌株が3種類そろうように、各菌株を保有するマウスを1匹ずつ計3匹のグループに分けて飼育し、その後数週間にわたって糞を調べ、どの株が優勢になるかを追った。 優勢となるパターンには、SからC、Rへと移りまたSに戻るサイクルの傾向が見られた。これは予想通りの結果だった。というのも、感受性株はコリシン産生株に負けるが、コリシン産生株は耐性株に勝てないからである。毒素のコリシンが存在しないと、耐性株は感受性株に負けてしまう。毒素の存在は微生物群集の多様性を低下させるどころか、実際には多様性を高めるのを助けていることが、この研究からわかると著者たちは述べている。

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