Nature ハイライト

神経:見えても信じるな

Nature 428, 6981

時々、動いてもいないものが動いているように見えてしまうことがあるが、脳がどのようにして我々をだますのか、その仕組みが解明された。ごく普通に起こる錯視の1つに、低レベルのニューロンの活動が関係していることが明らかになった。 A Grinvaldたちは、ネコに「線運動錯視」を体験させた。ヒトやネコなど一部の動物は、小さい点を見せた直後に直線を見せると、流れ星が動いたように知覚する。最初の点が視覚野にニューロンの低レベルの活動を発生させて、脳の活動の準備を整えるのだという。次に線分が現れると、ニューロンの活動が必要な閾値レベルに達し、細胞が発火を始めて錯視が生じる。 Grinvaldたちは高感度の色素を用いて、脳の表面でニューロンの低レベルの活動を観察した。その結果、この錯視に関係するのは一次視覚系の回路であって、これまでいわれていたような、注意などの高度な認知処理過程ではないことがわかった。

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