Nature ハイライト

遺伝:起源の古い遺伝的変異体

Nature 464, 7285

これまで知られていなかったタイプの遺伝的変異が、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)に近縁なS. kudriavzeviiの研究で見つかった。ガラクトース利用遺伝子(GAL遺伝子)ネットワークの主要な要素は、サッカロミセス属のほとんどでよく保存されているが、S. kudriavzeviiの標準株は機能するGAL遺伝子をもたず、ガラクトースを炭素源として利用できない。今回の研究は、ガラクトースを利用できない日本産のS. kudriavzevii分離株と、ガラクトースを利用できるポルトガル産の分離株との違いに注目している。ゲノム解析から、日本株では大幅に変化した、機能をもたないGAL偽遺伝子が、ポルトガル株では機能をもったGAL遺伝子が、それぞれ存在することがわかった。この2つの代替的な状態は「平衡非連鎖遺伝子ネットワーク」(BuGNP)と名付けられた。これらの起源は非常に古いとみられ、S. kudriavzeviiが種として生じてからのほぼ全期間にわたって共存してきたらしい。

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