Nature ハイライト

医学:始まりは養殖場のアヒル

Nature 430, 6996

鳥類が媒介するインフルエンザウイルスは、東南アジアに固有のウイルスである。これらのウイルスは「容易には根絶できず」、また「この地域、そしておそらくは世界中の人々と家畜の健康に対する脅威であり、長期的な抑制措置が必要である」。こうした悲観的な見通しがY Guanたちによる報告から浮かび上がってきた。Guanたちは、2003年終わりごろから2004年初めにかけて中国と7つの東アジア諸国の家禽類に大流行を引き起こした病原性の高い鳥インフルエンザウイルスH5N1型の起源を調べた。これと同じ型のウイルスによって、タイとベトナムでは死者が出ている。 Guanたちは、一連の遺伝子再集合現象をH5N1の系統をさかのぼって調べた。H5N1の前駆体ウイルスは、1997年に香港で起きたヒトでの流行と、続く2001年と2002年の鳥類での流行の原因となったインフルエンザウイルス株の祖先ではないかとも考えられている。このような再集合現象によって、2003年と2004年のこの地域での流行の原因となった主要な株が出現した。 今回得られた知見はいずれも、中国南部の養殖場のアヒルが、汎流行性ウイルス株の維持に中心的な役割を果たしている可能性を示すものであるが、どうやら野鳥も感染拡大に関与しているらしい。

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