Nature ハイライト

細胞:インスリン放出のαおよびβ

Nature 464, 7292

膵臓でインスリンを産生するβ細胞は寿命が長く、一生の間にほとんど複製しないが、損傷を受けたり代謝的要求があったりすれば複製することがある。β細胞をほぼ完全に除去したトランスジェニックマウスモデルの研究によって、通常はペプチドホルモンであるグルカゴンの産生を担っている成体α細胞が、自発的に再プログラム化されてβ細胞になる場合があることが示された。意外にも膵細胞の可塑性が示されたことは、in vitroでの細胞作出もしくはin vivoでの再生誘導のどちらかの分化を利用した糖尿病治療の可能性を示唆している。また、選択的に細胞を全滅できる新しいモデルの作製によって、ほかの臓器でもこれまで認識されていなかった細胞可塑性が明らかになるかもしれない。

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