Nature ハイライト

量子力学:コマで行う量子カオス研究

Nature 461, 7265

カオスは、簡単なものから複雑なものまでさまざまな系でみられ、原子のエネルギー準位、電子輸送、化学反応、神経回路網、人口動態、気象系や惑星の運動で見いだされている。カオスは、実際にはほとんどどこにでもあるといえるが、量子力学とは基本的に相いれないようにみえ、古典カオスの量子的な特徴が長い間探されてきた。今回、そのような特徴の実験的検証が、「キックされた(力を頻繁に受けてその回転が変化していく)コマ」で実現された。これにより、対応する古典カオスをもつ量子相空間動力学の観測に使える原子系が得られたことになる。この系は、過冷却セシウム原子を中心に構成されており、これらの原子は電子スピンと核スピンを乱す磁場による「キック」を受けているため、摂動に敏感であり、動力学的量子もつれを示すなどカオスの量子的特徴をみせる。

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