Nature ハイライト

医学:C型肝炎の新しい治療薬

Nature 465, 7294

C型肝炎ウイルス(HCV)に直接的に作用して、慢性感染を治療するための抗ウイルス薬の開発は、臨床上必要性が高く、ウイルスのプロテアーゼであるNS3およびHCV複製に不可欠なRNA依存性RNAポリメラーゼであるNS5Bという2つの酵素の阻害剤に研究がおおむね集中して行われてきた。BMS-790052は、化学遺伝学によって強力なHCV特異的阻害剤であることが突き止められた化合物で、非構造タンパク質5A(nonstructural protein 5A;NS5A)という、酵素活性がわかっていない第三のウイルス分子の低分子阻害剤である。今回、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の研究チームは、BMS-790052の発見とウイルス学的な特徴を報告し、また、健常者とHCV感染患者で行われたこの化合物を用いた臨床試験の結果を公表している。これらの結果は、HCVのNS5Aの阻害が臨床的に適切な機序であるということの概念実証に当たる。in vitroのデータからは、既知のHCV阻害剤との相乗的な相互作用が示されており、抗ウイルス薬のカクテルが実行可能な治療法となると考えられる。

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