Nature ハイライト

細胞:テロメアを守る

Nature 460, 7257

真核生物の直線状の染色体の末端には、テロメアとよばれる配列がキャップのようについている。テロメアは、DNA二本鎖が切断されて生じた一本鎖部分と、基本的には同じ構造である。一般に二本鎖切断箇所は病原となる損傷なので、ゲノムの完全性維持のために修復されなくてはならないのだが、テロメアは通常、DNA損傷修復経路を活性化しない。テロメア維持の過程で主に働くのは、MRE11、RAD50、およびNBS1という3つのタンパク質からなるMRN複合体である。今回、マウスで全MRN複合体あるいはMRE11のヌクレアーゼ活性だけを不活性化する対立遺伝子を用いた研究が行われ、MRE11がテロメアで2つの機能を果たしていることがわかった。MRE11は、突出(オーバーハング)部分のDNA端の形成促進により新たに合成されたテロメア端を修復因子から保護し、またテロメアが適切に機能しないときには、このような突出部分を分解して融合修復を促進するのである。

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