Nature ハイライト

神経科学:失読症は文化に影響される

Nature 431, 7004

表意文字である漢字を読む中国人にみられる失読症の原因となる脳の異常は、表音文字のアルファベットをベースとした言語を用いる西洋人とは異なるようだ。この発見は、失読症には普遍的な原因はなく、文化によって影響を受けることを示している。 失読症の生物学的な起源は、左側頭頭頂葉と呼ばれる脳領域にあると多くの研究者は考えている。しかしほとんどの研究では、英語やイタリア語などのアルファベット言語が対象とされてきた。L H Tanたちは、機能的磁気共鳴画像法を用い、失読症の中国人小児が、漢字をベースとする中国語を使ったさまざまな課題を行う際の脳活動を調べた。その結果、読字に障害がある中国人では、左中前頭回という別の脳領域の関与が示唆された。 今回の発見を利用して、この脳領域を刺激する課題を開発すれば、中国語使用者の助けになるのではないかとTanたちは期待している。

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