Nature ハイライト

植物科学:花粉を運ぶねばねばオイル

Nature 431, 7004

植物の新しい受粉法が中国の研究者たちによって見つかった。ショウガ科の植物Caulokaempferia coenobialisは、花粉をまき散らすのにぬるぬるした油を使っており、この油が花の中で花粉粒を移動させている。これはなかなか優れた適応であるとD ZhangたちはBrief Communicationsで述べている。この植物は中国南部の陰の多いモンスーン林で生育し、そこでは花粉を運ぶ昆虫が非常に少ない。 この植物は、花粉を周囲の仲間の間に飛散させるかわりに、自家受粉を行うことで問題を回避している。ここで登場するのがこの油で、花粉接着物質(pollenkitt)と呼ばれている。早朝、花粉嚢が破れて開くと、そこからこの油も分泌される。油は日中に花全体にじわじわと拡がり、日が傾く頃には油膜が花の雌性器官へ到達する。これは巧妙な方法である。なぜなら、油の自然拡散によっているために、水平な位置をとる花なら自家受粉に重力の助けを必要としないですむからである。

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