Nature ハイライト

Cover Story:生態系によるCO2取り込み:異常に高温の年の影響は長引く

Nature 455, 7211

地球の陸上生態系は、正味の植物生産力(CO2吸収量)および土壌微生物の呼吸(CO2放出量)の季節的変化により、大気中のCO2量に強力な影響を与える。こうした過程が、気候の季節的推移、特に気温変化に対応して変化し、その結果として地球のCO2曲線がジグザグ型になることは、数十年前から知られているが、1つの気候変数の影響を年次的時間スケールで定量するために必要なデータはこれまで存在しなかった。今回、大型の管理環境チャンバー中で手を加えない状態の長草型草原における生態系を用いた4年間の研究によって、このようなデータの一端が得られた。表紙はこうした装置の1つで、夏季の刈り取りの数週間後の植物群落がみられる。研究の結果、異常に高温の1年により、その年と翌年の2年間にわたって正味の生態系CO2交換量が低下することが明らかになった。1年間にわたり高温下におかれた生態系の炭素隔離量は、対照系の3分の1に低下した。この知見は、人為起源のCO2量増大が原因と考えられる異常高温年の頻度上昇により、陸上生態系によるCO2取り込み量が持続的に低下する可能性を示唆している(Letter p.383, www.nature.com/podcast)。

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