Nature ハイライト 量子宇宙論:リアリティ・チェック 2008年5月1日 Nature 453, 7191 波動関数は、基本粒子の示す波に似た挙動を説明するために量子物理学者たちが考えたものである。シュレディンガーは波動関数自体が実在を表している可能性があると考えたが、波動関数はあいまいな事象の確率を計算する手段に過ぎないと見なされることが多い。M SchlosshauerはEssayで、量子物理学者はこの説について意見をはっきりさせるべきだとの考えを述べている。波動関数をそのまま認めるなら、我々の量子宇宙は、我々が実在であると思いこみがちな現象とは矛盾するようになる。しかし、実在に対する認識の方を我々は見直さなければならないのだ、と彼は言っている(Essay p.39)。ともかく、古典世界は量子論の原理から出現するはずのものだ。P BallはNews Featureで、どのように出現するのかを解き明かそうとしている物理学者たちの話を紹介している(News Feature p.22)。量子世界と古典世界は統合できるという考えの先駆者であった量子物理学者J Wheeler氏は、4月13日に逝去された(N&V p.50)。 2008年5月1日号の Nature ハイライト 工学:メムリスタンスの登場 進化:原始の被子植物の残存種 細胞:三次元空間内での白血球の移動 遺伝:8人のゲノム 免疫:毒素と自己免疫 宇宙:木星の影の下で 気候:10年スケールの気候予測 複雑系:ネットワークの不足部分を推測する 視覚:時計を気にする網膜細胞 量子宇宙論:リアリティ・チェック 目次へ戻る