Nature ハイライト

気候:10年スケールの気候予測

Nature 453, 7191

北大西洋の気候変動は、ハリケーン活動や、北アメリカからヨーロッパ、アフリカに及ぶ地域の地表温度と降水の変化を引き起こし、社会に大きな影響をもたらす。原理的には、海洋の現在の状態がわかればこれらの変化を予測できるのだが、必要な亜表層の観測が不足している。Keenlysideたちは、海洋の状態に関する詳細な情報は、10年スケールの有効な予測を行うには必ずしも必要でないことを示している。彼らの方法は、「後ろ向き」予測、つまり過去にさかのぼっての予測では有効なことが証明されており、既存の海面温度の観測結果を使って気候モデルの予測能力を改善する。この新たなモデルは、次の10年間にわたって、北大西洋と熱帯太平洋における気候の自然変動によって、予測される人為起源の温暖化が一時的に相殺されると予測している。つまり、ヨーロッパと北アメリカの地表温度は、この期間中にわずかに低下する可能性すらあるようだ。

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