Nature ハイライト

宇宙:火星の奇妙な海岸

Nature 447, 7146

火星に海が存在したかどうかは、誰でも思わず釣り込まれるような話題である。火星の平原を数千キロメートルにわたって取り囲む地表の一連の地勢が、昔の海岸線の名残であると説明されたときは、すべてが解決したように思えた。しかし、想定された海岸線に沿った地形の輪郭から、標高が極めて長い間隔で、波のように上下しており、その上下の変化幅は最大で数キロメートルに及ぶことが明らかになった。このことは、海岸線仮説の反証として論じられてきた。しかし今回、海岸線説が見事な復権を果たしたのである。Perronたちは、極移動(惑星表面の方位が自転軸に対して変化すること)により海岸線の変形を説明できることを示した。その上、観測された変形の原因になったと思われる極移動の軌跡は、惑星の回転力学的性質と一致しているらしいのである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度