Nature ハイライト

Cover Story:微生物の地図:古代DNAが描き出す、ユーラシア大陸におけるヒト病原体の広がり

Nature 643, 8073

ヒトの歴史を通じて、感染症は我々の健康と長寿に大きな脅威をもたらしてきた。微生物はヒトの死後もその遺体に残存し、何千年も前に亡くなった個体であっても、歯や骨のDNA塩基配列を解読することでそうした微生物を検出することができる。今回M Sikoraたちは、このことを利用して、3万7000年にわたるユーラシアの歴史を網羅する、ヒト病原体分布マップを作成している。研究チームは、1313人の古代人の塩基配列解読データを取得し、古代の細菌、ウイルス、寄生虫のDNAが広く存在していることを見いだした。特に、6500年前頃から動物起源と思われる病原体の証拠が検出され、その数は、家畜化が普及した約5000年前にピークに達していた。また彼らは、ユーラシアステップからのヒトの移動によって、さまざまな病原体がどのように拡散したかも描き出している。

2025年7月24日号の Nature ハイライト

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