Nature ハイライト
Cover Story:微生物の地図:古代DNAが描き出す、ユーラシア大陸におけるヒト病原体の広がり
Nature 643, 8073
ヒトの歴史を通じて、感染症は我々の健康と長寿に大きな脅威をもたらしてきた。微生物はヒトの死後もその遺体に残存し、何千年も前に亡くなった個体であっても、歯や骨のDNA塩基配列を解読することでそうした微生物を検出することができる。今回M Sikoraたちは、このことを利用して、3万7000年にわたるユーラシアの歴史を網羅する、ヒト病原体分布マップを作成している。研究チームは、1313人の古代人の塩基配列解読データを取得し、古代の細菌、ウイルス、寄生虫のDNAが広く存在していることを見いだした。特に、6500年前頃から動物起源と思われる病原体の証拠が検出され、その数は、家畜化が普及した約5000年前にピークに達していた。また彼らは、ユーラシアステップからのヒトの移動によって、さまざまな病原体がどのように拡散したかも描き出している。
2025年7月24日号の Nature ハイライト
天文学:系外惑星系のケイ酸塩の雲と周惑星円盤
量子物理学:単一核スピンを自在に操る
物性物理学:予想よりはるかに高温まで安定な金属結晶
量子測定:エンタングル光を用いた音響周波数領域でのセンシング
高分子化学:天然ポリエステルから扱いやすい関連ポリマーを合成
有機化学:四置換アルケンを制御して構築する一般的な方法
気候科学:衛星観測による大気循環の10年変動
気候科学:気候に対する航空の影響のトレードオフ
動物行動学:蛾も星を頼りに旅をする
植物科学:パンゲノムで明らかになった大麻の遺伝的多様性
社会科学:数学の成績の男女差は早期に出現する
神経科学:遠くを眺めるだけで活動する場所細胞
腫瘍免疫学:CAR-NK細胞活性を制御するチェックポイント分子
腫瘍免疫学:固形腫瘍の軟髄膜転移におけるIFNγシグナル伝達のユニークな役割
生物工学:出生直後はin vivo造血幹細胞遺伝子治療の効果が高い
細胞生物学:さまざまな細胞内凝縮体の機能を調べる新しいツール
生化学:1個の複合体がストレスとストレス応答の両方を監視して応答を終わらせる
構造生物学:RNAポリメラーゼIIIのクライオ電子顕微鏡構造
分子生物物理学:RNAがRNAだけで構築する巨大で複雑な複合体