Nature ハイライト

工学:LEDの波長を短くするには

Nature 441, 7091

コンパクトディスクのような光メモリデバイスのデータストレージ密度を高めるには、データスポットをより小さくする必要がある。そうなると、データの読み出しに使う光ビームをこれまで以上に短波長にしなければならない。谷保芳孝たちが報告している発光ダイオード(LED)は、このようなデバイスで使用される波長としてはこれまでで最も短い、深紫外領域の波長で発光する。  この研究成果は、紫外LEDだけでなく短波長レーザーにもつながるだろう。そして、これらは光データストレージにとどまらず、紫外光を使って危険な有機物質を焼却するといった、生物医学や水の浄化などへの応用も考えられる。  この新しいLED作製の鍵となったのは窒化アルミニウム(AlN)という材料である。この物質はよく知られているが、これまで発光デバイスには使われていなかった。これを使えるようにするため谷保たちは、2種類の半導体型のAlNを作る必要があった。1つは電流が可動電子によって運ばれる半導体(n型)、そしてもう1つはキャリアが正に帯電した正孔の半導体(p型)である。これは、シリコンやマグネシウム原子をこの材料にドープして作られた。n型とp型のAlN膜を組み合せてサンドイッチ構造にすると、電子と正孔は結合し、短波長紫外光の光子(光の粒子)が放出される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度