Nature ハイライト

進化:羽毛恐竜の仲間なのに羽毛のない恐竜

Nature 440, 7082

ドイツで見つかった保存状態が非常によい恐竜の化石から、いわゆる「非鳥類型」恐竜が羽毛を備えるようになった過程は、従来考えられていたよりも複雑だったことがわかった。この化石は、ドイツ南部のSchamhauptenで発見されたもので、およそ1億5000万年前にあたるジュラ紀後期のヨーロッパ産恐竜として最高の標本である。しかも、同じ太古の年代にいた同類の恐竜には羽毛があったことが明らかなのに、この恐竜には羽毛があったことを示す証拠がない。  ジュラ紀後期の小型肉食恐竜の化石標本は少なく、特にヨーロッパではこれまで2例しか見つかっていない。そこに今回の新しい恐竜化石が加わったとU GöhlichとL Chiappeは報告している。この恐竜は、獲物を捕食する全長75 cmほどの肉食恐竜で、尾の先端側の3分の1は欠けているが、化石は極めて完全なものだ。しかも、この標本には外皮が保存されていて、そこに羽毛を含む構造がないことがわかった。  この発見により、恐竜がいつどのような経緯で最初に羽毛を獲得したのかという問題はさらに複雑になった。著者たちは、今回の新しい化石は、恐竜の系統樹のうち一部の系統では他の枝に属する仲間よりも羽毛が速く発達したことの証拠になると論じている。だがNews and ViewsではX Xuが、この個体が幼若体であって成長すれば羽毛が生えてきた可能性もあると指摘している。しかし、「どんな説明であれ、初期の羽毛の進化に関する我々の知識はまた1つ増えることになる」と述べている。

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