Nature ハイライト

分子生物学:CRISPRよりも前からあったトランスポゾン

Nature 599, 7886

切り貼り型のトランスポゾンは、転位に関わる数種類のタンパク質をコードしている。TnpAは主要なトランスポザーゼタンパク質であり、それに付帯してTnpBも存在することが多いが、その機構上の役割はこれまで謎のままだった。V Siksnysたちは今回、この謎を解明する突破口を開いた。放射線照射抵抗性細菌由来のTnpBが、トランスポゾン関連モチーフ(TAM)の5′-TTGATを使いRNA分子をガイドとして特定の部位を切断するDNAヌクレアーゼであることが明らかになったのである。この知見はCRISPR系に大きな意味を持ち、トランスポゾンがCRISPRの進化上の祖先である可能性を示唆している。またTnpBは、RNAを案内役としたゲノム編集にも活用できる可能性がある。

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