Nature ハイライト

細胞生物学:ミトコンドリアへのグルタチオン運搬の調節因子

Nature 599, 7883

グルタチオン(GSH)は、細胞内の主要な抗酸化物質であり、細胞質ゾル内で産生されるが、GSH合成系を持たないミトコンドリアのような他の細胞小器官にも存在する。ミトコンドリアへのGSHの運搬を行う輸送体は、まだ解明されていない。今回K Birsoyたちは、SLC25A39とそのパラログのSLC25A40が、ミトコンドリアへのGSHの運搬に必要であるという証拠を示している。SLC25A39/40が失われると細胞増殖に異常が生じ、鉄代謝をはじめとする代謝の乱れにつながった。この代謝の乱れは、GSHが、酸化還元の緩衝剤としてだけでなく、ミトコンドリアの鉄–硫黄クラスターのメディエーターとしても進化してきたとする考えを裏付けるものである。マウスでは、SLC25A39/40が赤血球の発生に必要であることも分かった。SLC25A40がGSHを直接輸送するという証拠は得られていないが、この研究によってGSH輸送体を特定する今後の研究への道が開かれた。

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