Nature ハイライト

発生生物学:毛包発生の「テレスコープ」モデル

Nature 594, 7864

毛包は発生過程において、毛包プラコードとして知られる肥厚した皮膚における前駆細胞の増殖と分化を介して形成される。今回、藤原裕展(理化学研究所生命機能科学研究センター)たちは、ライブイメージングと単一細胞トランスクリプトミクスを組み合わせて、毛包プラコードが毛包へと成長する際の、毛包プラコード内の個々の細胞の運命をマッピングし、追跡している。単一細胞レベルでの経時的な追跡により、毛包プラコードでは、前駆細胞の集団が同心円状に並んでいて、これが長軸方向に並んだ筒状の区画として望遠鏡のように伸長し、毛包を形成することが分かった。まとめると今回の研究は、昆虫の付属肢の発生と類似した毛包発生モデルを提示しており、これは、外胚葉器官の発生機構が保存されている可能性を示唆している。

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