Nature ハイライト

植物科学:TORキナーゼと転写調節

Nature 591, 7849

TOR(target of rapamycin)キナーゼは、あらゆる真核生物で細胞の増殖と成長を調整している。これまでの研究では、主にTORキナーゼによる翻訳調節に焦点が合わせられてきたが、今回Y Xiongたちは、TORが転写に及ぼす影響を調べている。彼らは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において、EIN2(ethylene-insensitive protein 2)がTORの基質であることを発見した。EIN2は小胞体と核の間を行き来するシャトルタンパク質で、植物ホルモンであるエチレンへの応答に関わることが知られている。具体的には、TORは、グルコースの存在下ではEIN2をリン酸化して核への局在を妨げ、これによってグルコース–TOR標的遺伝子の転写に対するEIN2の抑制作用を阻害する。EIN2の転写に対するこの作用は、エチレンシグナル伝達に果たす役割とは独立しているようである。

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