Nature ハイライト

構造生物学:LPSセンサーの存在意義が明らかに

Nature 584, 7821

リポ多糖(LPS)はグラム陰性細菌外膜の主要成分であり、障壁機能の維持に不可欠であるだけでなく、感染の際には免疫増強物質として機能する。LPSの生合成の基盤となっている因子と機構はよく研究されているが、不明な点もまだいくつか残っている。J Payandehたちは今回、内膜にあって不明なところの多いタンパク質PbgAについて構造学的・生理学的な研究を行い、これが重要なLPSセンサーであることを明らかにした。この結果は、最近発表された複数の研究のものとは対照的である。今回の研究によって、PbgAが持つこれまで知られていなかったLPS結合部位が明らかになり、PbgAがLPS生合成酵素LpxCの活性を調節していることが分かった。さらに彼らは、PbgAを標的とするペプチドのライブラリーを構造学的データに基づいて作製した。これは細菌外膜を標的とする新規抗菌剤を設計する際の出発点となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度